令和7年度の消費生活相談員担い手確保事業の実施要項が公表

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消費者庁の消費生活相談員担い手確保事業

消費者庁では、全国各地の消費生活センター等で相談業務等を担う人材の確保を目的として、消費生活相談員担い手確保に関する取組を実施しています。
令和7年度も「消費生活相談員資格試験対策講座」「消費生活相談員養成講座」を実施いたします。
全国の消費生活相談員資格の取得を目指す方や、現在消費生活相談業務に就いていない方などからの多くの応募をお待ちしています。

消費者庁 令和7年度消費生活相談員担い手確保に関する取組より引用

講座は、2つありどちらも国費負担で受講費用は無料です。

※ 詳細はチラシ及び各実施者ウェブサイトを御覧ください。

「令和7年度 消費生活相談員になるための講座」チラシはこちら

消費生活相談員資格試験対策講座

概要

  • e-ラーニングを通じて、消費者安全法に基づく消費生活相談員資格試験の対策ができます。
  • ※消費生活アドバイザー試験、消費生活相談員資格試験のいずれかに合格すると、「消費生活相談員」の国家資格が付与されます。
  • ※本講座は両試験の対策講座です。

主に対象となる方

  • 消費生活相談員を目指す方
  • 国家資格を保有していない消費生活相談員の方

消費生活相談員養成講座

概要

  • オンライン講座・対面講座を通じて実際の消費生活相談業務で必要となる発展的な知識や実践力が習得できます。
  • 消費生活相談員資格試験対策講座及び消費生活相談員養成講座本講座を受講することで、「消費生活コンサルタント」の資格取得にチャレンジできます。

受講の対象となる方

  • 現在消費生活相談業務に就いていない方
  • ※消費生活相談業務に就いている方であっても、消費生活相談員資格を保有しておらず消費生活相談員資格試験対策講座を受講し、消費生活相談員資格の取得を目指している方は消費生活相談員養成講座の申込が可能です。
  • ※対面講座開催地及びその隣県に在住の方を一定数優先しますが、その他の地域からも申し込むことが可能です。
  • ※対面講座開催地は決定次第、本ホームページにてお知らせします。

消費生活相談員の役割

消費生活相談員とは

 地方公共団体の消費生活相談センター及び消費生活相談窓口において消費生活相談やあっせんに対応する専門職です。

 平成26年改正消費者安全法において「消費生活相談員」の職が法律上規定され、消費生活センターには必ず消費生活相談員を置くこととされました。

消費生活相談員の職務

  • 事業者に対する消費者からの苦情に係る相談・あっせん
  • 消費者による主体的な問題解決の促進・支援(消費生活の専門家としての一般的な消費生活に係る適切な助言等)
  • 他の専門家等への橋渡し
  • 相談結果の整理・分析及び消費者教育・消費者啓発への活用
  • 消費生活相談の現場で把握した問題点等の関係部局に対する情報提供

消費生活アドバイザーと消費生活コンサルタント

 平成26年に消費者安全法が改正され、以前の消費生活アドバイザー、消費生活コンサルタントの有資格者は特定の講習を受講することで、国家資格の消費生活相談員と同等とすることになりました。

 今の消費生活アドバイザー試験合格者は、同時に消費生活相談員の資格を保持することになります
 一方で消費生活コンサルタント資格は、集合学習が基本で、受講時間が長く提出物の多く、相談員の実務を見据えた消費者と相談員のロールプレイなどが組み込まれている、比較的難関とされる消費生活コンサルタントの資格合格者は消費生活相談員として扱われることはありません

 これは、過去に企業にお客さま相談室を設置することを推進した、経済産業省が主体となって消費生活アドバイザー資格が作られた経緯が関係しているのかもしれません。実際に試験内容には企業内での仕組みを問われる問題が1/3ほど出題されます。
 消費生活コンサルタント資格が作られた経緯は消費者からの問題意識から地域の消費者リーダーなどを育成するために作られたもので、消費生活アドバイザーよりも歴史が古く、講座内容はブラッシュアップされており、知識の範囲としては消費生活相談員の内容を網羅しています。

 これは消費生活相談員の試験実施機関として、消費生活アドバイザー試験を実施している日本産業協会が内閣総理大臣から認可を受けているのに対して、消費生活コンサルタント資格試験を実施している日本消費者協会は消費生活相談員の試験実施機関として認可されていないため、消費者安全法で消費生活相談員としての資格は与えられないのです。
 ですが、実務的な内容までフォローしているのは消費生活コンサルタント資格という矛盾が発生しています。
 つまり、平成26年以降の規制事業化でそれまでの消費生活相談員資格(みなしも含む)などの相談員経験者の既得権益化としている部分もあり、新規資格保持者の就業には狭き門となっています。

消費者が求めている相談員のイメージと、現状のギャップ

 近年では、スマートフォンやインターネットに関連するデジタル分野の消費者トラブル、NISA、iDeCo等の個人投資に関する相談が増加しており、消費生活相談員の国家資格の分野だけでの対応が困難になっています。

 職業的専門家として幅広い分野が出題される難易度の高い試験が制度化されているにもかかわらず、消費生活相談員のみでの年収は多くても280万円以下であり、ほとんどの場合月額20万円を割り込むため、相談員のみでの収入では生活が困難であり、持続可能な取り組みではありません。住民の相談を解決する相談員の人件費が低すぎるため、高度な人材が集まらない仕組みとなっています。

私の実体験と所感と改善案

 私は令和6年度の担い手確保事業で消費生活コンサルタント資格を取得しましたが、法改正で消費者安全法の消費生活相談員に該当しなくなったため、書類審査で門前払いされることが多いです。

規制事業化の既得権益で、消費者不在の運営が顕著に

 また、消費生活相談員の職務経験者を優遇し、他の分野のデジタル分野や金融分野等の現代の暮らしに必要なリテラシーは一切問われないことで、対応力の陳腐化が懸念されます。

相談員の能力格差があり、不適切な対応も

 私は何度かスマホの契約対応や金融商品の勧誘について、消費者トラブルで在住している自治体の消費者相談窓口に相談しました。
 しかし、「相手の企業はキチンとした組織なので、代表者に不適切な扱いを受けた内容の詳細に書いて、改善してもらうように申し出てください。」と、特定商取引法や消費者契約法、割賦販売法などの民法の特別法を駆使して解決に導くことはなく、同じコメントが複数回提案されました。低賃金のため高度な対応は望めず、時代に追いついていないのがよくわかります。

今後の改善の提案

 消費生活相談員の募集の応募資格で、消費生活相談員資格が必須に追加して、デジタルリテラシーやFP技能士資格をお持ちの方は歓迎します。と記載すれば改善しそうな気もしますが、人件費が高騰するでしょう。
 ですが、今後の労働人口減少化で、少数精鋭で解決できる組織になるような気がします。


まとめ

 消費生活相談員の養成講座で得られる知識は、暮らしの役に立つものばかりです。

 現在の消費生活相談員を取り巻く環境を考えた場合、あえて待遇が悪くストレスがたまりやすい仕事をしてするより、自己防衛のために知識を定期的にブラッシュアップすることが賢い選択でしょう。

  • 作成:2025年6月16日
  • 文責:能登健
  • 出典元:消費者庁

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